学生記者が大使館に聞いてみた!Vol.5 -ヨルダン・ハシェミット王国大使館-

レポート

「学生記者が大使館に聞いてみた!」も今回で5回目。学生記者が各国大使館を取材し その国の魅力を探っていきます。これまでサモア独立国(太平洋)⇒トーゴ共和国(アフリカ)⇒イスラエル国(中東)⇒セルビア共和国(ヨーロッパ)と続いてきました。さて次はどの国に? 秋田県立能代高等学校から学生記者のレポートです。(取材日:2021年3月16日)

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中東に位置するヨルダン

皆さん、ヨルダンという国はご存知ですか?
なんとなく名前は知っていても、その内面を深く知る人は少ないのではないでしょうか。ですが、これからの記事を見ればヨルダンの魅力まるわかりです!

まず、基本情報についてご紹介します。
ヨルダンが位置しているのは中東で、周辺をシリアやイスラエルなどが囲んでいます。国旗には左側に赤い三角形、右側には白・黒・緑の三色の線が入っています。前者は現在の王室である預言者ムハンマドの曽祖父の一門、ハシェミット家およびアラブのレジスタンスを表し、後者はイスラム王朝の3つ、ウマイヤ朝、ファーティマ朝、アッバース朝を表しています。これらのことから宗教はイスラム教だということがわかりますね。

ヨルダンの国旗

面積は89,340平方キロメートルで、北海道とほぼ同じ大きさです。人口は約950万人で、公用語はアラビア語、首都はアンマン。映画「インディ・ジョーンズ」の舞台として有名なペトラ(Petra)遺跡や月の谷としても知られるワディ・ラム(Wadi Rum)をはじめとする5つのユネスコ世界遺産もあります。国中を北から南まで横断する「ヨルダン・トレイル(Jordan Trail)」と呼ばれるハイキングでは、約40日ほどかけてこれらを含む有名スポットを回ることが出来ます。食事には〇〇〇〇〇を多用するなど、日本人から見たらちょっと不思議な面もあります。是非この〇〇〇〇〇に当てはまる食べ物を考えながら読んでみて下さい!

映画「インディ・ジョーンズ」でおなじみのペトラ遺跡

「月の谷」としても知られるワディ・ラム

私たち能代高等学校学生記者団はヨルダン・ハシェミット王国大使館のリーナ・アンナーブ(=Lina ANNAB)大使にインタビューして、ヨルダンの真髄に迫ってみました。

ヨルダン国内を旅するリーナ大使

 

■もっと知りたくなるヨルダン

今回大使に直接インタビューするという稀有な機会をいただいた私たち。折角のチャンスですので、日本ではあまり知られていないヨルダンについて質問してみました。

ラーニア王妃も着た!?ヨルダンファッション

ヨルダンには、インスタグラムのフォロワー数が630万人の、世界的に注目されているファッションリーダーがいます。皆さんはラーニア王妃という方をご存知ですか?

ラーニア王妃は、単にヨルダンの人々の憧れになっているのではありません。ヨルダンにおいて大事な役割を担っています。ラーニア王妃は、女性のための職業訓練校を作ったり、児童虐待防止計画などを推進したりと、社会的弱者の地位向上のための活動に尽力しているそうです。

またユニセフ親善大使も務め、子供に平等な教育の機会を与えるために、国を転々としたときの自らの経験をもとにした絵本を出版し、その売り上げを学校の整備に当てるというチャリティ活動も行っているそうです。

美しく、行動力があるラーニア王妃はヨルダンの人々だけでなく世界中の人々に尊敬されるような素晴らしい方ですね!

ラーニア王妃はヨルダン王室の公式行事などの場ではヨルダンの伝統衣装を着ているそうです。

民族衣装を身にまとった女性

ヨルダンの街角に見られる民族衣装店

リーナ大使によると、日本では着物という全国共通の伝統衣装がありますが、ヨルダンでは地方によって特徴が異なるそうです。

さて、地方によってどんな特徴があると思いますか?

1つ目は刺繍パターンです。柄としては、糸杉の木のモチーフからはじまり、大地、生命、宇宙に関わるものを模様としています。

海岸地方や中部・北部・南部パレスチナでは、クロスステッチという技法により、幾何学的な模様が用いられています。ベツレヘムやイェルサレム地方では、コーチング・ステッチという金・銀糸を使う技法によって、花模様が用いられています。刺繍には手間がかかるので、1つの衣装を作るのに1年もかかるそうです。また、パレスチナの女性たちは10歳までに刺繍の基本を身につけておくみたいです。

2つ目は、衣装の型です。北部パレスチナのコートは非常に細身の衣装となっています。一方で、遊牧民ベドウィンのトーブ*は、中部、南部パレスチナと同じですが、全般にゆるやかな形となっています。

このように、地域の特色によって変化を遂げてきたヨルダンの伝統衣装にきっと皆さんも心惹かれることでしょう。

(*トーブ(thawb)とはベドウィンなど遊牧民が着用する民族衣装のこと)

取材はオンラインで

全員 英語でのインタビューに挑戦!

人々を繋ぐスポーツ -難民キャンプの活動-

「難民」と聞くと、食料を追い求めている人々の様子、そして国境を越え、紛争から逃れる人々の様子が思い浮かぶのではないでしょうか。

これまで多くの難民を受け入れてきたヨルダンでは「スポーツの可能性」をもとに、難民キャンプで多種多様なスポーツを行い、人々の心に余裕を作り出すという活動を行っています。他者との関わり、協働の中から生み出される「共感」「感動」から「笑顔」の根源にもなるスポーツ活動を大切にされているそうです。そんな難民キャンプで今注目されているタグラグビーについて聞いてみました。

ー難民キャンプにタグラグビーはどれくらい広まっているのでしょうか?

「ヨルダンでは(タグラグビーを含む)ラグビー自体が新しいスポーツであり、男性用と女性用に分かれてプレーします。徐々に浸透してきており、今後多くの人がプレーすると考えていますが、人気のあるスポーツはサッカーやバスケットボールで、ラグビーはそれらと比較するとまだまだ競技人口が少ないです」

そしてもう一つ面白い事実が!ヨルダンにある死海は世界で最も標高が低いとのことですが、ヨルダンで行うラグビーの試合は、世界で最も標高が低い所での試合として記録になっているそうです。

ラグビーは試合におけるマナーが大事にされているので、大使は難民キャンプをはじめ、より多くの人々がラグビーをすることを願っているということです。

ヨルダンが受け入れた難民の数は350万人に上る

ハンドサイン

次に私たちが注目したのはハンドサイン。インターネットで調べると、ヨルダンには面白いハンドサインがありそうなのです。例えば、5本の指をあわせてつぼみのような形を作り、上向きにし、親指は自分の向けると「ちょっと待って」という意味するそうです。

―他にヨルダン特有の面白いハンドサインはあるのでしょうか?

「人は様々なジェスチャーは使います。例えば人に静かにしてと言う時、口の前に手を当てますよね?でもこれはヨルダンに限ったものではないです。
常にジェスチャーを多く使う国や民族もありますが、私たちは普段から身振り手振りが多いわけではないです。
もちろん言葉が通じない時はジェスチャーを使います。ですが国や民族によって不適切な意味を持つものもあります。大事なのは相手によってそのハンドサインが適切かどうか調べることですね」

結論として、他にヨルダン特有のハンドサインはなかったことが判明しました。しかし、改めて異文化交流において相手を思いやる大切さを大使から教わりました。

 

食事のマナー

日本には様々な食事のマナーがありますね。
「食べる時にテーブルに肘をついてはいけない」「箸と箸で食べ物をやり取りしてはいけない」など…。
ヨルダンにも食事のマナーがあります。具体的にどんなマナーがあるのでしょう?

まずは日本と同じく、食事の前に「いただきます」、食事の後には「ごちそうさまでした」といいます。
ヨルダンの公用語アラビア語では、「いただきます」は「ビスミッラー」、「ごちそうさまでした」は「アルハムドリッラー」と言うそうです。どちらも神様に関係する表現だそうです。

「ビスミッラー(いただきます)」

「アルハムドリッラー(ごちそうさまでした)」

また、マンサフのような大皿の料理をシェアするときは、隣の人にぶつからないようにすることがマナーであり、左手は後ろに回すそうです。

食事のマナーを守ることはどの国でも最低限の礼儀として、重んじるもべきのであることに変わりはなさそうですね。ここで紹介した以外にもたくさんマナーはあります。もしヨルダンに行く機会があれば、気をつけて食事をするとよいそうです。

 

マンサフって何?

私たちがインターネットでヨルダンについて調べていると、マンサフという郷土料理を見つけました。マンサフとはヨルダンを代表する郷土料理のひとつです。

これぞヨルダンの郷土料理マンサフ!

主な食材として、米、羊肉、ヨーグルト、パン、様々なスパイスが使われており、美味しいのはもちろんのことスパイスにより独特な風味を味わうことができます。また食べ方にもきまりがあり、スプーンなどの道具は使わず手を使って食べることがルールだそうです。

食文化はその土地の環境や歴史との結びつきが強いと思うので、ヨルダンの食文化を知るということはヨルダンの国風を知るための有効な手段の一つになりそうですね。また、食材だけでなく食べ方のきまりなどの細かなところまで再現することで、その国の文化をより深く理解できると思いました。

 

■ヨルダンを旅しよう

最後に、私たちはヨルダンの歴史的な場所を巡る旅行プランを立ててみました!

AM 10:00《ペトラ遺跡》

世界的な大ヒット映画『インディ・ジョーンズ』の撮影にも使われた世界遺産。
シークと呼ばれる高さ100メートルの岩壁の間を縫うように進む細い通路があり、長さは約1.5キロメートル。一日の中でも太陽の光によって様々な色合いを見せる。

PM 12:00 《ヨルダンのグルメを楽しむ》

ヨルダンを代表する料理を味わうために、アンマン市街を訪れる。
ケバブ・・・串に肉を刺しローストした料理。日本でいう焼き鳥。
マンサフ・・・ドライヨーグルトのソースで羊肉を煮込んだ料理。日本とはヨーグルトの活用法が異なっている。

ヨルダンの首都 アンマン

PM 3:00 《ワディ・ラム保護区》

この保護区はほとんど手つかずのまま。「広大で、音の響き渡る神のような場所」とT.E.ロレンス(映画『アラビアのロレンス』)は表現した。月の谷として知られている。
満天の星の下のキャンプやアラブ馬の乗馬体験、ハイキング、ロッククライミングなどを楽しむことができる。

こんな光景に出会えるかも?

PM 18:00 《リゾート地》

死海近くには世界中から観光客が訪れるリゾート地が多くある。海面下260メートルにあるマイン温泉や、ホテルにスパを併設した施設などで旅の疲れを癒すことをおすすめする。

《ヨルダンを発つ前にお土産を購入》

~オリーブオイル~
ヨルダン料理に欠かせない物。ヘルシーで香りも良く、日本でも様々な料理で使用できる。

~ヨルダンワイン~
ヨルダンは朝晩の寒暖差が激しい気候が特徴で、美味しいワインに最適な環境である。ヨルダン産のワインは世界的に高い評価を得ている。

~アラビックコーヒー~
浅煎りのコーヒー豆と、カルダモンなどのスパイスが特徴的アラブ伝統のコーヒー。

~フェイスマスク~
ミネラルを豊富に含んだ死海の泥から作られたフェイスマスク。

 

いかがでしたか?アフターコロナにはヨルダンで素敵な時間を過ごしてみませんか?

これからも日本人が知らないヨルダンを発見、情報発信をしていきたいと思います。

 

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レポート:秋田県立能代高等学校 学生記者団

(五十音順)

安濃美咲(Anno Misaki)

伊藤ひなた(Ito Hinata)

上野藍子(Ueno Aiko)

梅田野々華(Umeta Nonoka)

大塚綾乃(Ohtsuka Ayano)

男鹿心海(Oga Kurumi)

春日明大(Kasuga Minto)

小棚木響(Kotanagi Hibiki)

佐藤夏鈴(Sato Karin)

佐藤海彩(Sato Maaya)

佐藤美乃(Sato Yoshino)

志戸田夏帆(Shitoda Natsuho)

中村研斗(Nakamura Kento)

成田芽吹(Narita Mebuki)

藤本佳乃(Fujimoto Yoshino)

吉方杏花(Yoshikata Kyouka)