学生記者が大使館に聞いてみた!Vol.7 - ポルトガル大使館 -

レポート

ポルトガルはイベリア半島、ヨーロッパの最西端に位置する国。東はスペインと接し、西は大西洋を臨みます。面積は92,226平方キロメートルで北海道と青森県を足した大きさとほぼ同じだそうです。ポルトガルと聞いて最初に思いつくのは何でしょう?種子島の鉄砲伝来?サッカーの強豪国?日本人の生活に広く浸透しているポルトガル由来の言葉も沢山あります。「パン」に「コップ」、「カルタ」に「マント」がそうですね。それでもまだ知らないことが沢山ありそうな国です。ポルトガルとは一体どんな国なのでしょうか?私たち学生記者はポルトガル大使館のティアゴ・マウリシオ(Tiago Mauricio)一等書記官に聞いてみました。(取材日:2021年12月18日)

ポルトガルの国旗

 

■あのロナウドを生んだポルトガルって?

ポルトガルと聞いて、皆さんが思い浮かぶ人物は誰ですか?クリスティアーノ・ロナウドと答えたそこのあなた!サッカーが好きなのですね!そんな優秀なサッカー選手を生んだポルトガルはどんな国なのか知りたくありませんか?早速ポルトガル大使館のマウリシオさんに聞いてみましょう!

―ポルトガルと一言で表すとどんな国なのですか?

「ポルトガルと一言で言い表すのは難しいです。仰るようにクリスチャーノ・ロナウド等のサッカー選手は有名ですが、日本の友人と話をしますと「カステラ」という言葉が出てきますし、キリスト教の布教という人もいれば、鉄砲の伝来という人もいます。一方で伝統的歌謡のファドだと答える人もいます。規模的には小さな国ですが、実に多様な側面を持っています。

あえて一言でいうなら『海』ではないでしょうか。ポルトガルは大航海時代に海洋帝国として栄えた国ですから」

今回もオンラインでのインタビューとなりました

―なるほど、海ですね。そういえば、ポルトガルから日本にもたらされたものはすべて海を渡ってきたのですよね。では日本とポルトガルの関係でポルトガルの人々に最も知られている歴史的事実は何ですか?

「ポルトガルの人々はポルトガル人が日本に初めて上陸したヨーロッパ人だと認識していて、また鉄砲伝来やキリスト教の布教についてもよく理解しています。その他カステラや金平糖などのスイーツをもたらしたこともよく知っています。パンも実はポルトガル語が起源ですね。この16世紀の遭遇ともいわれる日葡関係は、もっともよく知られた日葡関係でもあります。逆にポルトガルで知られている日本語もあります。屏風がそれです。ポルトガル人は「屏風」と聞くと何のことかわかるのです」

日本からポルトガルに伝わった言葉もあるのですね!驚きです!ポルトガル人と日本人の関わりは思っている以上に深いようです!

他にもポルトガルには伝統、文化、美食、自然、歴史など様々な魅力があふれていますが、近年はモダンで洗練された雰囲気が加わり、新たな魅力が生まれていると聞きます。しかし何よりも大きな魅力として、人々の生活や街並みにつながりがあり、ゆったりとした安全な国で、どこか懐かしくほっとするひと時を過ごしているようです。

一言では語りつくせないポルトガルの魅力。皆さんもご自分で探してみませんか?(佐藤)

ポルトガルの街並み

 

■ポルトガル大使館に聞いた!ポルトガルの食事情

 ポルトガルと言ったら皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。サッカーか、あるいは異国の地を感じる町並みか、楽しみ方は人それぞれですが、やはり観光で欠かせないのはご当地の料理を食べることではないでしょうか。

しかし、日本とは食文化が全く違うので、日本人とは口が合わないと思っていませんか?そんなことはありません。私たちの身近にあるものは意外とポルトガルから来たものが多いのです。

例えば、和食の代表とされる「天ぷら」があげられます。語源はテンポーロ(temporas)と呼ばれていたものが変化して、天ぷらになったという説があります。

他にも「カステラ」や「金平糖」などもあります。

日本に伝わったポルトガル料理を上げてきましたが、ポルトガルではどんな料理がよく食べられるのでしょうか。ポルトガルの大使館であるマウリシオさんにいくつか質問をしました。

―ポルトガルで人気の食べ物は何でしょうか?

「現在ポルトガルは非常に国際的になってきていて、大都市ではポルトガル料理はもちろん、日本や中国、エチオピアまで様々な料理が楽しめますし、人気があります。しかし一番人気はやっぱり何といってもポルトガル料理です。ポルトガル料理は魚介類がよく使われます。ポルトガルの魚料理は美味しいですよ」

さてここでポルトガルの代表的な料理を見てみることにしましょう。

アロス・デ・マリスコス

こちらはタコやアンコウ等、ポルトガルの様々な海の幸を入れて作るリゾットです。日本でも海鮮は栄えているので、自家製のアロス・デ・マリスコスを作ってみるのもいいかもしれませんね。

・カルド・ヴェルデ

こちらはカルド・ヴェルデと呼ばれる、家庭的なポルトガル料理です。日本でいうと味噌汁くらい一般的で、ジャガイモやオリーブオイルを使った、食材や調味料も舌触りの優しい質素な味わいなので、味が濃すぎず日本人の口にも合うでしょう。

これぞポルトガルのカルド・ヴェルデ(caldo verde)

美味しそうですね!

日本と少し似ているポルトガル料理ですが、ポルトガルにも日本の飲食店はあるのかを聞いてみました。すると、ポルトガルにも和食レストランなるものがあるらしく、最初に伝わったのは、1970~1980年の頃で、ポルトガルに移住した日本人が開店したそうです。そして今は寿司、ラーメン、丼ぶり、があるそうです。

ポルトガルへ訪れたら、是非ご当地の料理や、日本の料理が海外ではどんな味をするか等、楽しみながら食べてみてください。(清水)

 

■“この世のエデン”と称された美しきシントラの町、そして・・!

ここからは皆さんがポルトガルに行きたくなるような魅力的な観光地を紹介します!

まずはポルトガルの有名な観光地についてマウリシオさんに尋ねたいと思います!

―私たちがポルトガルに行くとしたらどこがおすすめですか?

「ポルトガルはヨーロッパの一番西にある国です。だから海が見えます。そこで私はロカ岬をおすすめします。近くに美術館もありレストランもあります。そして景色がとても素敵で観光客は元気になります。

おすすめする1番の理由として、ロカ岬にはポルトガル語で“ヨーロッパ大陸の最西端”と書かれた記念碑が置いてあり、ロカ岬は特別な場所だからです」

ロカ岬に立って、果てしない大西洋を見ると、「ここに地終わり海始まる(註1)」と言ったポルトガルの詩人ルイス・デ・カモンイスの言葉もわかるかもしれません…!

ユーラシア大陸最西端の地、ロカ岬

140メートルの断崖絶壁に建つ記念碑

皆さんはシントラという町をご存知ですか?

ポルトガルの中で、私が特におすすめする観光地はそのシントラという町です!

『見よ!シントラという名の壮大なエデンの園は、山と渓谷の織りなす迷宮のなかにある。ああ、いかなる者がペンをとり、この風景の半分だけでも描くことができようか…(註2)』

と、英国詩人のバイロン卿が著書の中で絶賛するくらい美しい町シントラ。

ポルトガルの首都リスボンの約30km北西に大西洋に面してシントラの町があります。

緑豊かな丘を背景に、王宮を中心として貴族や富豪の豪華な宮殿が8つも建っていて、その美しい文化的景観は、1995年にユネスコの世界遺産に登録されています。

一つの町の中に8つも宮殿が建っているなんて、凄すぎますね!

ぜひ訪れてみたい…!

シントラに建つペーナ国立宮殿

個人的にはシントラのペーナ宮殿のカラフルな様子にとても惹かれました。

赤や青、黄など鮮やかに彩色されたペーナ宮殿は、おとぎ話に出てくるお城そのもの。

イスラム、ゴシック、ルネサンス、マヌエルといったさまざまな建築様式が混然一体となったその姿は、とらえどころのない摩訶不思議な魅力を生んでいます。

見る場所によって全く違う建物に見える…とか!

まるでゲームの世界のお城みたいで素敵!

まるでおとぎ話に出てくるよう・・

ゲームの世界のお城にも見える!

ではここでマウリシオさんにも宮殿について尋ねてみましょう!

―マウリシオさんが訪れたことのあるポルトガルの一番好きな宮殿はなんですか?また、なぜそこが好きなのか教えてください。

「私が好きなポルトガルの宮殿はケルス宮殿です。ケルス宮殿は昔王様や王妃が住んでいました。ケルス宮殿の中にはさまざまな机や椅子があり、タバコ部屋もあります。他にもペンキを塗られたタペストリーや陶磁器のショーケースもあります。ポルトガルの歴史の文化を深く学びながら宮殿を見学することができるので楽しいと思います」

ケルス城の外観

ケルス宮殿は“ポルトガルのヴェルサイユ宮殿”と言われているくらい華やかで優美な装飾ですが、どことなくポルトガルらしい控えめな雰囲気を感じられるそうです。

マウリシオさんの話を聞いてすごく行ってみたくなりました!!

ケルス宮殿の豪華な大広間

立派な建築だが少し控えめな雰囲気を纏っている

大航海時代、ポルトガルは、東はインドから日本、西はブラジルまで、世界を制覇した海洋王国でした。

そのポルトガル国王が夏の避暑地としてシントラを選び、宮殿を建てました。

王にとって、緑の森に囲まれたシントラの宮殿はかけがえのない安らぎの場所だったのでしょう。

もしかしたら海洋王国のポルトガルの栄光とその輝きも、シントラの宮殿があってこそかもしれない、と感じました!

マウリシオさんはポルトガルについて様々なことをくわしく教えてくださって、たくさんの魅力を知ることができ、ますますポルトガルについて興味が湧いてきました!

コロナが収束したら、絶対にポルトガルへ足を運んでみたいです!(多田)

 

【註】1.ルイス・デ・カモンイス(Luís Vaz de Camões 1524-1580)の叙事詩「ウズ・ルジアダス(Os Lusiadas)」の一節

2.ジョージ・ゴードン・バイロン(George Gordon Byron 1788-1724)の著作「チャイルド・ハロルドの巡礼」の一節

 

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レポート:IAC学生記者団 ポルトガル大使館取材チーム

(五十音順)

■佐藤元(さとう はじめ): 東海大学1年生

 

■清水裕輝(しみず ひろき):東海大学2年生

今回ポルトガル大使館取材の記事を担当させていただいた清水裕輝です。ポルトガルには様々な魅力がある中、ポルトガルの食生活やポルトガルと日本の食文化の関係について取材させていただきました。

日本で食べる料理でもポルトガルが元々発祥なものがあれば、話題の一つとして話すと面白いかもしれませんね。また、ポルトガルを訪れることがあれば、ぜひ私の記事で紹介したカルド・ヴェルデやアロス・デ・マリスコスを食べてみてください。

 

■多田美早紀(ただ みさき):神戸海星女子学院高等学校 2年生

今回初めて記者となってインタビューさせてもらいました。初めは緊張して質問を間違えたりしましたが、マウリシオさんは笑顔でいてくださって、質問にも丁寧に答えてくださいました。ありがとうございました。

 

■田中優梨(たなか ゆり):実践女子大学2年生