皆さんはスイスと聞いて何を考えますか?チーズ?ハイジ?聳え立つアルプスの山々?日本から約18時間かかる遠く離れた国なので想像がつきにくいかも知れません。ドイツやフランス、イタリアなどに囲まれたヨーロッパにある国のスイス。その領土は4.1万平方キロメートルで、九州と同じくらいの大きさです。公用語はなんと四つもあり、中にはロマンシュ語という消滅の危機にある言語も使われています。またUSニューズ&ワールド・レポート*(US News Best Countries Ranking 2024) によると、スイスは世界最高の国ランキングの一位に選ばれていて、世界からも高く評価をされる国となっています。そんなスイスが日本初のサイエンス領事館を大阪府に設立しました!私達は大阪に向かい、スイスとはどんな国なのか、サイエンス領事館や大阪万博についてインタビューをしてきました! (松浦)
(取材日:2024年11月14日)
在大阪スイス領事館に到着するまで~領事のプレゼンが始まるまで
このような貴重な体験が出来る機会は滅多に無いので待ち望んでいました。それと同時に緊張もしながら領事館へ向かいました。領事館へ着くと三人の外交官の方々が笑顔で迎えてくださいました!外交官の方々の雰囲気や話し方が優しく、徐々に緊張感が和らいでいきました。在大阪スイス領事館は[design with wood]展を開催していたため、木材で作られた家具などが展示されていて、落ち着いた雰囲気のある場所でした。そして、領事館長であるメスナー領事(Dr. Felix Moesner, Consul, Consulate of Switzerland in Osaka) からスイスについてのお話を聞かせていただきました! (星野)
スイスという国について
1 皆さんはペットを飼っていますか。何匹飼っていますか。1匹?2匹?それとも、もっとたくさん? 実はスイスでは、ペットの一匹飼いができないのです。その理由は、「ペットにも社会があるから」。一匹飼いをするということは、その動物を仲間と引き離し、孤立させるという考え方があるそうです。お話を伺っていた私自身、ウサギを一匹飼っているので、ペットという存在について考えさせられる機会となりました。
2 スイス国民は健康な方が多いです。それは何故でしょうか。スイスといえば、あの美しいアルプスを想像しませんか? スイス国民は、よく山を登る習慣があるようです。その頻度、なんと毎週!また、男性は軍に入らないといけない時期もあるので、健康的な体を維持できている方が多いそうです。
3 アルプスという言葉を聞くと、ある少女のことが頭にうかびますね。日本でアニメ化もされて有名にもなった、世界的名作、「アルプスの少女ハイジ」をご存じでしょうか。私たちは、この物語はスイスでさぞかし有名なのだろうと想像し、ハイジの知名度についてお聞きしました。すると意外な返答が返ってきました。「アルプスの少女ハイジ」は1880年ごろに執筆されたもので、スイス国民からすると「知ってはいるけど、古いからあまり見たことがない」そう。
1880年は、日本でいう明治時代初期ごろなので、確かに古いといえなくもないです。(石橋)
4 皆さんはスイスの経済格差が100年以上もの間、広がっていないことをご存知ですか。理由はなんだと思いますか。その鍵は「教育」にあるそうです。先進国を含む多くの国では、少数の高学歴の人がいて、沢山の教育を受けられていない人がいるという実態です。しかし、スイスは違います。スイス人は皆んながそれぞれに合った良い教育を受けることができています。例えば、スイスの学生の75%はスイス独特の職業訓練学校という所へ、20%は大学へ進学しています。スイス国民全員が社会に貢献できているのです。またこのことは、スイスが世界でイノベーションに強い理由でもあります。大学のエリートがスイスのイノベーションに貢献しているのではありません。スイス国民全員がイノベーションの力になっているのです。(谷川)
サイエンス領事館について
今回私たちが足を運んだサイエンス領事館は、白と赤と木を基調とした建物で洗練された印象を受けました。案内してくださったニーナさんとヤンさん、そして領事のメスナーさんににこやかに出迎えていただきスイスの方の人柄をじかに感じることができました。
そもそもスイス領事館は2023年9月30日に大阪にて開所されました。この領事館はスイスと日本の科学分野での交流と促進を目的としたサイエンス領事館であり、日本では初めてのサイエンス領事館になります。スイスのサイエンス領事館は日本の大阪以外にもアメリカ2ヶ所(ボストン&ニューヨーク、サンフランシスコ)、ブラジル(リオデジャネイロ、サンパウロ)、中国(上海)、インド(バンガロール)の5ヶ所あり、日本の大阪で6ヶ所目です。
そもそも、スイスのサイエンスとはいったい何なのでしょうか?最初に名前が挙がるのはかの有名なアインシュタインでしょう。アインシュタインはスイスヨーロッパ工科大学チューリッヒ校を卒業した科学者で、サイエンスに関する発見を星の数ほどした科学者です。有名な発見といえば、宇宙が広がり続けている発見は言うまでもないでしょう。また、近年のスイスではITがすさまじい発展を見せています。そのほかにも、DNAの解析などスイスのサイエンスは世界のサイエンスの発展において必要不可欠な存在と言えます。
さて、皆さんにも実感を得てもらいたく、このサイエンス領事館が実際に取り組んでいるAIや、バイオテクノロジーなどの振興技術に対する国際的な規制、またそれらの技術によって引き起こされる問題について、どのように対処されているのかについて質問をしました。
AIは今では私たちの生活で欠かせないものであることは事実であるけれど、そんな中で、「AIの利用を制限すること」で引き起こされうる問題を対処されているようです(例えば、戦争中ではAIによって操作されるAI兵器を利用しない など)。また、サイエンス領事館では主に、平和のためにテクノロジーを利用することにしているそうです。スイスの行なっている取り組みは日本と似ており、EUでの論理的な側面と連携されているそうです。今回の取材で、日本とスイスはテクノロジーの側面で同じ制限を得ていると知ることができました。(寺島、栗原)
2025年大阪万博のスイスパビリオンについて
スイスやサイエンス領事館に対する興味が深まってきたのではないでしょうか。私たちは、実際にスイスの魅力を感じることのできるイベントとして、大阪・関西万博スイスパビリオンの見どころについても伺ってきました。
スイスパビリオンのテーマは「生命(ライフ)」、「地球(プラネット)」、「人間拡張(オーグメンテッド・ヒューマン)」の3つです。これらは大阪万博全体のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」とも関連しています。会期のはじめは「人間拡張」、会期中間は「生命」、後半は「地球」と、時期ごとにテーマが変わるので再訪するのもおすすめです。また驚くべきことにスイスは、大阪・関西万博においてエコロジカルフットプリントが最も小さいパビリオンを目指しているそうです。エコロジカルフットプリントとは、ある期間に消費する資源を生産したり、排出する二酸化炭素を吸収したりするのに必要な土地や水域の面積で表した、環境負荷を示す数値です。万博にかける莫大な資源が問題視されるなか、スイスパビリオンは持続可能性にも配慮しているのです。
スイスパビリオンは、5つの球状の建物からなる印象的な建築を、沢山の植物が彩るとても美しい建物です。この建築の最大の特徴は、その重量です。なんと総重量は400kg以下で今万博で最軽量!従来の建築物のたった1%程度で、2〜3台の運搬用自動車で資材を運搬することができます。万博では6ヶ月の開催期間が終了すると、パビリオンを解体、撤去しなくてはなりません。その際、環境への負荷をなるべく小さくし、かつその資源を再利用することが持続可能な社会に必要だと、スイス領事館のメスナーさんは仰いました。パビリオン解体後の資材は、家具などに作り替えて再利用するほか、球体のまま移設して活用することも検討しているようです。そうはいっても、夏の暑さに薄い壁が耐えられるのか心配な方もいるのではないでしょうか。ミストが設置されるため夏場でも涼しく観覧することができるそうです。持続可能な社会を目指す志の高さや、その志を実現させるスイスの技術力の高さを実感しました。
パビリオン内の展示についても、少しだけお話を伺うことができました。未来を意識した展示があり、予測される次の50年の様子を「Future viewing」の映像で見ることができます。参加型のブースもあり、自分の書いたものがシャボン玉になってスクリーンの中に飛んでいくかもしれないそうです!
また、パビリオン内の「ハイジカフェ」では飲み物を楽しむことができます。チョコレートのドリンクがあるかもしれない…とのことです。チョコレートといえば、日本ではKitKatでお馴染みのNestleはスイスの会社なんです!チョコレートやチーズなどを物販で見ることもできるかもしれません。ぜひ、万博でもスイスの魅力を堪能してください。(岩見・吉田)
今回の取材を終えての感想
皆さん、スイスについての理解、興味は湧いたでしょうか?
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レポート:
■AIE国際高校■ (順不同)
近藤 佑樹 Yuki Kondo
高椿 観成 Kansei Takatsubaki
石橋 櫻子 Sakurako Ishibashi
谷川 寧音 Nene Tanikawa
栗原 沙美 Sami Kurihara
寺島 碧唯 Aoi Terashima
星野 樹里 Juri Hoshino
松浦 つぐみ Tsugumi Matsuura
吉田 純菜 Junna Yoshida
浅田 庄太郎 Shotaro Asada
岩見 真歩 Maho Iwami
荻野 ゆず葉 Yuzuha Ogino