学生記者が大使館に聞いてみた!Vol.8 - イラン・イスラム共和国大使館 -

レポート

イランは日本から7515km離れた場所に位置し、カスピ海とペルシャ湾に面している国です。 面積は1,648,000㎢もあり、何と日本の4.5倍になります!イランの民族はペルシャ絨毯で有名な通りペルシャ人で、公用語もペルシャ語です。皆さんはイランについてどんなイメージがありますか?実はイランには日本ではあまり知られていない魅力がたくさんあるのです!そこで私達総社南高等学校の学生記者団はイラン・イスラム共和国大使館のアミール・ラヒーミー(Amir Rahimi)文化参事官代理と森島聡(Morishima Satoshi) 文化参事室顧問にインタビューしてみました。(取材日:2022年10月13日)

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イラン・イスラム共和国の国旗

ファッション

イランでは人口のほとんどがイスラム教徒です。そのため、女性は肌を見せないようにするという厳しい決まりがあるイメージを抱く人が多いのではないでしょうか。イランの女性が髪や肌を隠すために使う大きな布はチャドルと言います。半円形で4mくらいの布で出来ているそうです。

チャドルを着て授業を受ける少女たち(提供:イラン・イスラム共和国大使館)

イランでは、女性はチャドルを1日のほとんどの時間で着ています。またチャドルを制服としている学校も多くあり、女学生はチャドルを着て学校へ行くことが決まりになっています。しかし、家ではチャドルを着なくてもいいのです。なぜなら、イスラム教では、女性の肌は家族にだけ見せるものとされているからです。

イランの方々にとって、「チャドル」とは伝統的衣装であり、象徴とも言えるのです。しかし、私たちと同じようにイランの女性の方々もオシャレをしています。では、イランの女性の方々はオシャレをどのようにしていると思いますか?

まず、正式な服装として、イランの女性は白いベールを頭に被り、コートを着ます。その上にチャドルを着ます。オシャレをする場合、何を着るか自由とされているコートの下でおしゃれを楽しむ人が多いそうです。また、腕や指にリングをつけたり、好きな靴を履いたりするのは自由、お化粧も自由なため、イランの方々はお化粧をするのが大好きだそうです。イランの女性の方たちは決められた中でも私たちと同じようにおしゃれを楽しんでいるのですね!!

風習について

お祈りをする男性

この場面、皆さん一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。これはモスクでのお祈りの場面です。日本には馴染みのない文化ですね。国が違えばもちろん文化も違います。たとえば1週間のスケジュールがどのようなものなのか気になりませんか。

学校へ向かう男の子たち(提供:イラン・イスラム共和国大使館)

イランでは金曜日に集団礼拝が行われ、休日となります。そしてラマダーンと呼ばれる断食月があり、約1ヶ月間は日が昇ってから沈むまで食べ物だけでなく飲み物も飲んではいけないそうです。断食が終わると家族でいつもより豪華な食事をするそうです。ごはんが終わると家族団らんの時間です。イランは家族をとても大切にする国で、週末には家族みんなでお出かけするのが定番の過ごし方だそうです。

やはり国が違えばこれほどの生活の差が生まれるということがわかりました。日本との違いという点について、私たちと同じ年代の学生はどうなのでしょうか。学校は7時半ごろから始まるそうです。随分早いように感じますね。3時ごろには終わり、イランには部活をする文化がないのでそのあとは帰宅をします。最も驚いたのは、高等学校までは男子と女子が別々で授業を行うということです。

イランの学校の様子

(提供:イラン・イスラム共和国大使館)

夏休みは2ヶ月半ほどあるそうです。とても長いですね。大学からは男女一緒に勉強するようになります。イランの大学では男女比率が3:7だそうです(男性:女性)。ではこのように女子学生が多くなる理由はなんなのでしょうか。なんとイランでは、入試の時にあるのは日本で言うセンター試験のみなのです。そして、試験に合格できなかった場合、女性は次の試験までは家事手伝いなどをして過ごしますが、男性は徴兵に行かなければなりません。これが男性比率が低い理由のようです。

実際に話を聞いてみると日本との違いもたくさん見つかりました。イランの学校生活を体験してみたくなりました。

タアロフについて

(提供:イラン・イスラム共和国大使館)

あなたはイラン独特の慣習である「タアロフ(taarof)」を知っていますか?きっと知らない人や、聞いたことがあっても意味がよくわからない人が大半だと思います。因みにイランの公用語としてはペルシア語が使用されており、これはアラビア語とは少し異なります。この背景には近代史が多く関わっており、調べてみると沢山の情報がありました。タアロフの由来にも関係ありそうです。

それでは本題となるタアロフの全容について迫っていきましょう。これは中央アジアから来朝したジャーン朝の王をもてなすサファヴィー朝のシャー・アッパースの絵です。

(提供:イラン・イスラム共和国大使館)

このようにイランでは古代より人をもてなすことを好む文化や風習がり、そのあような人間性の表れた言葉だということがわかりますね。では「タアロフ」を日本語で簡潔に表現するとならばどうなるでしょうか。これはイランの中では非常に意味が広く、一言で表すならば「社交辞令」、「遠慮」であるが「もてなしの精神」とも言えるでしょう。

このようにイラン特有の言葉の中にも誰にでも優しく、親しみのある人間性が溢れ出ていることがわかりました。

イランの食文化

イランの食文化についても気になりますね!イランの伝統的な食事はホルシテ・バーデンジャンというシチューで、ナスやキマメ(木豆・樹豆)、ひつじ肉がトマトで煮込まれています。イランのナスは日本と比べてとても苦く、それが美味しいそうです。他にもフェセンジャーンというカレーのような見た目をしたシチューもイランで親しまれていて、クルミとザクロをペーストにした鶏肉やひつじ肉の肉団子が入っています。味は甘酸っぱくて見た目とはギャップがありますが、クセになるそうです!どちらもとても美味しそうですよね!

フェセンジャーン

フェセンジャーンの肉団子バージョン(提供:イラン・イスラム共和国大使館)

イランでは、食べ物を食べる時一緒にヨーグルトドリンクがよく飲まれています。イランの伝統的なファストフードはひつじ肉とレバーの串焼きで、ラヴァージュというシート状のナンと一緒に食べると美味しいそうです。そんな魅力的なイランの伝統料理は、日本では大阪や京都にお店があるようなので、ぜひ足を運んでみてくださいね♩他にも日本でも人気なピザや、とても大きなハンバーガーもイランで大人気のファストフードだそうです。お祭りの屋台などでよく見かけるケバブは日本でも親しまれていますが、イランのケバブは日本でよく食べられているケバブとは少し違うんです!日本のお祭りなどでよく見かけるケバブはピタと呼ばれるパンにキャベツとお肉を入れてソースをかけて食べます。しかし、イランのケバブはひつじ肉や鶏肉と焼いたトマト、オリーブが乗っていて、ソマーグと呼ばれる香辛料を使っているそうです。同じ料理名でも見た目が違うなんて面白いですよね♩

イランで人気なお菓子はピスタチオとギャスという伝統菓子で、お土産としてもとてもオススメだそうです。

イランのキャバーブ(ケバブ)

(提供:イラン・イスラム共和国大使館)

イランのモスク

イランはイスラム教の国でモスクがたくさんありますが、その中でも一際美しいモスク、通称「ピンクモスク」を知っていますか??今からこのピンクモスクについて紹介していこうと思います。「ピンクモスク」とは正式名称ナスィロルモルク・モスク(Nasir al-Mulk Mosque)といいます。この写真を見てください。

「ピンクモスク」と呼ばれるナスィロルモルク・モスク

(提供:イラン・イスラム共和国大使館)

とっても綺麗で神秘的な雰囲気が素敵ですよね!中庭に面する窓にはめ込まれたステンドグラスから光が差し込むことでこのような空間が生まれているのです。バラをモチーフにしたタイルがたくさん使われていて、モスク全体がピンク色に見えることからピンクモスクと呼ばれるようになったそうです。

ここでラヒーミーさんと森島さんにぜひ観光客に行ってみて欲しいモスクはどこか聞いてみました!おすすめしたいモスクはイマーム広場にあるシャイフ・ルトゥフッラー・モスクだそうです。オススメする理由を聞いてみたところここは夜になると凄く幻想的なモスクの姿が見られるからなのだそうです。

イマーム広場とシャイフ・ルトゥフッラー・モスク

(提供:イラン・イスラム共和国大使館)

写真を見てもらうとわかる通り、昼と夜では全く姿の異なるモスクが見れます。また、この広場の北側にはバザールも開かれていて、たくさんの食べ物やお土産が買えるので観光客にはうってつけの場所なのです。

なんだかすごくイランにいきたくなってきました。ここでは書ききれないくらい、たくさんの魅力がイランにはあると思います。ぜひ自分の身体で感じてみて欲しいです。

以上、学生記者団によるイラン共和国大使館取材でした。

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レポート:総社南高等学校

総社南高等学校のみなさん、イラン・イスラム共和国大使館 ラヒーミー文化参事官代理、森島文化参事室顧問、IAC理事

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