ー再訪ー 昼下がりの領事(学生記者取材) Vol.5 ー在大阪カンボディア王国名誉領事館ー

レポート

コロナ禍ですっかりご無沙汰の「昼下がりの領事」。今回は「-再訪- 昼下がりの領事」ということで、Vol.2にご登場いただいた在大阪カンボディア王国名誉領事館を訪問。無名だったアンコールワットを一大観光地に仕立て上げ、カンボジアの認知度アップに大きく貢献した大阪の領事館です。

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2021年で開館20周年を迎えたという知らせを受け行ってまいりました、在大阪カンボディア王国名誉領事館!お部屋に入ると各国大使館や大臣からのお祝いのメッセージが!

 

オークン!(カンボジア語)オーキ二!(関西弁)どちらも「ありがとう」という意

 

そして山田英男(Yamada Hideo) 名誉領事。2年前にお目にかかった時と全然変わらない・・。御年80だそうです。お若い!

山田英男(Yamada Hideo) 名誉領事

 

山田名誉領事はカンボジアでは有名人でいらっしゃいます。(「昼下がりの領事vol.2」参照)フンセン首相の代理で宮内庁の晩さん会に出席されたこともあるとか・・。日本人でカンボジア首相の代理を務めるって・・!!カンボジアからよほどの信頼がなければありえないことですよね?

― そんな名誉領事が歩んできた20年間とはどのようなものだったのでしょうか?

「カンボジアはこの20年間で、想像をはるかに超えるスピードで経済的発展を遂げました。達成感という意味では、名誉領事館としてボランティアでビザ発給を行い、積極的なPRによって日本からの観光客を増やし、カンボジアの主要産業の1つである観光業で経済を支えるお手伝いをしてきたという自負があります。(名誉領事就任当時は)関西からカンボジアへの渡航者はゼロでした。それが今では実に多くの方がカンボジアを訪れています。(1)

観光業の発展とともに、経済発展によってもたらされた生活を国民の皆さんが享受しておられる姿を見ることは私の大きな喜びです」

 

感染に注意しながらの取材です

 

― 以来、多くの人がカンボジアに渡航するようになり、当時あまり知られていなかったアンコールワットも日本人に広く知られるようになったのですよね。

「大阪の商店街では1等くじがカンボジア旅行ということもありましたからね。高齢者の中にも『死ぬまでには一度行ってみたい』という好奇心の強い人が多い。

あまり知られていませんが、実はカンボジアにはアンコールワット級の遺跡がまだ400近く(!)も眠っています。コロナ終息後には、名誉領事として培った人脈の中から遺跡発掘のエキスパートを派遣し、新たな観光スポットを開拓し、さらに宿泊施設を充実させるようにお手伝いしたいですね」

 

カンボジアの世界遺産アンコール・ワット

アンコール・ワットはカンボジアの旗にもデザインされています

 

―前回お話を伺ったときは学生のインターンシップも話題に上りました。

「学生のインターンシップは20年間の領事業務の中で特に力を入れてきたことです。これまでに数千人の学生がカンボジアへ訪問しています。訪問後にはレポートを提出してもらっていますが、プロの調査書に勝るとも劣らないレベルの内容です。今でも偶然、インターンシップを経験された学生の方々と道でばったり会うことがありますが、彼らが社会に出て、その時の経験を活かし、色々なフィールドで活躍する姿を拝見することも私の喜びです」

 

ビザ発給業務をはじめとする領事業務、そしてカンボジア認知に尽力する活動はすべてボランティアだと仰います。儲けを一切無視した活動の原動力は一体どこから?

「私はあらゆるビジネスで成功をおさめてきました(2)。私は商売人だから言えることですが、ボランティア活動は実はビジネス以上に価値のあるものです。そしてビジネス思考に役に立ちます。将来ビジネスが広がっていく糧となっていくという意味ですね。そのためにはボランティアとビジネスはきっちり分けて考えなければなりませんね。金儲けを考えるとどうしても志は弱くなります。ビジネスで成功した感動はもちろん素晴らしいですが、ボランティア活動の成功で得られる感動もまた比較にならないくらい素晴らしいものです」

 

・・下世話な話ですが、この名誉領事館の経費はオフィスやスタッフの給料も含めすべて山田領事のポケットマネーなのだそうです。どこまで太っ腹なん??!!

 

左からオング・ボシ館長、山田名誉領事、山﨑あず咲 IAC学生記者

 

― 最後に、2025年には大阪万博が開催されます。それを念頭に、これからの20年、そしてその先へとどのような取り組みをしていきたいですか。

「大阪万博2025は、カンボジアをまだ訪問されたことがない方々に広くカンボジアの素晴らしさを知っていただける良い機会と捉えております。カンボジア本国、在日本カンボジア大使館からの要請に応じて、開催地で長年活動してきた地の利と人脈を活かし、パビリオンの企画立案や万博協会との交渉などに参画させていただこうと考えております」

「そして今後ですが、カンボジアのGDP成長率は2011年以降は7%前後が続いていましたが、今般のコロナ禍で観光業も大きな打撃を受けています。しかしフンセン首相のリーダーシップのもと、ワクチン接種が進んでおり(7月19日現在 25.4%)、ASEAN諸国の中でも高い接種率となっております。ポストコロナを見据えて、カンボジアの観光立国を実現したいと考えております。長期的に観光ビザがなくても自由に訪れることができるようになればいいですね。

また、私的な考えですが、カンボジアの現在の繁栄が、内戦時代の人々の犠牲の上に成り立っているという事実をカンボジア人そして日本人にも忘れて欲しくないと常々思っております。歴史的な背景についても語り継いでいきたいと思っております」

(取材日:2021年7月30日)

 

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【註】(1)カンボジア観光省統計によると、コロナ前の2019年、日本からカンボジアへの渡航者は20.7万人。(https://seishiron.com/motstatistics-2/

(2)山田名誉領事は山田グループの代表も務める。(http://www.cambodia-osaka.com/group/index.html

*カンボジアの表記について:在大阪カンボディア王国名誉領事館では現地により近い発音である「カンボディア」を採用しています。